薪ストーブのある暮らし
薪ストーブの基礎知識
パチパチと薪がはぜる音、ゆらゆらと揺れる炎を眺めながら過ごす冬のひととき。映画や雑誌、旅先の宿などで、「薪ストーブのある暮らし、いいな」と心惹かれた経験のある方も多いのではないでしょうか。薪ストーブは、エアコンや床暖房とは異なり、単なる暖房器具にとどまらず、暮らしそのものを豊かにしてくれる存在です。炎のぬくもりや木の香り、そして薪をくべるひと手間さえも、日常の楽しみへと変えてくれます。花みずき工房でも、自然素材の家づくりと相性の良い薪ストーブを取り入れた住まいを、これまで数多く手がけてきました。
そこで今回は、薪ストーブの基本からメリット・注意点、設計時のポイント、そして実際の施工例までを、分かりやすくご紹介いたします。
薪ストーブとは?仕組みや特徴
薪ストーブとは、薪を燃料として燃焼させ、その熱によって室内を暖める暖房器具です。燃え上がる炎の熱を本体に蓄え、その熱を時間をかけて周囲へと伝えていく点が、大きな特徴といえます。
その暖かさを支えているのが、「輻射熱(ふくしゃねつ)」による暖房です。輻射熱とは、空気を介さず、壁や床、家具、そして人の身体そのものを直接温める熱のこと。エアコンのように風で暖める方式とは異なり、部屋全体がじんわりと包み込まれるような、やさしい心地よさを感じられます。空気だけを暖める暖房では、足元が冷えやすかったり、運転を止めるとすぐに寒さを感じたりすることがありますが、薪ストーブの場合は、床や壁に蓄えられた熱がゆっくりと放出されるため、暖かさが長く続きやすいのも魅力です。さらに、扉付きの構造によって燃焼効率が高く、昔ながらの暖炉と比べて安全性や暖房性能に優れている点も、現代の住まいで薪ストーブが選ばれている理由のひとつとなっています。
薪ストーブのメリット
薪ストーブが多くの人を惹きつける理由は、「暖かい」だけではありません。日々の暮らしの中で感じる心地よさや、家で過ごす時間そのものを豊かにしてくれる点にあります。ここでは、薪ストーブならではの主なメリットをご紹介いたします。
薪ストーブの輻射熱は、空気だけでなく人や物を直接温めるため、寒さが厳しい冬でも、室内全体が安定した暖かさになり、足元から自然に暖かさを感じやすく、長時間過ごしても乾燥しにくいのが特徴です。また、暖房を止めた後も、室内に蓄えられた熱がゆっくりと放出されるため、急に寒くなりにくく、安定した暖かさが続きます。
炎の揺らぎには、人をリラックスさせる効果があると言われています。その理由のひとつが、「1/f(エフブンノイチ)のゆらぎ」です。炎の揺れや薪がはぜる音には、規則的すぎず、不規則すぎない独特のリズムがあり、小川のせせらぎや木々のそよぎと同じように、人が心地よいと感じやすいリズムだとされています。テレビを消して炎を眺める時間は、忙しい日常の中で心を整えるひとときになります。
薪ストーブは電気を使わずに暖を取ることができます。そのため、冬場の停電や災害時でも、家族が安心して過ごせる暖房として役立ちます。「いざという時にも使える暖房がある」という安心感は、これからの家づくりを考えるうえで、大きな価値のひとつです。
薪ストーブは、暖房器具でありながら、お湯を沸かしたり、煮込み料理を楽しんだりと、暮らしに楽しみをプラスしてくれる存在でもあります。薪を割り、火を起こし、炎を育てる、そうした一つひとつの工程が、「冬を楽しむ暮らし」へとつながっていきます。
導入前に知っておきたい、薪ストーブの注意点
薪ストーブは、自然のぬくもりやゆったりとした時間をもたらしてくれる一方で、一般的な暖房設備とは異なる特性を持つため、導入前に知っておきたい注意点もいくつかあります。快適で安心な薪ストーブのある暮らしを実現するために、ここでは事前に理解しておきたいポイントをご紹介いたします。
薪ストーブの導入には、本体価格に加え、煙突工事や床・壁の耐熱処理など、専用の施工が必要となります。機種や設置条件によって費用は異なりますが、一般的な暖房設備と比べると、初期費用は5倍〜10倍程度高くなる傾向があります。住まい全体の計画とあわせて、将来的な使い方も見据えながら、無理のない予算配分を考えることが大切です。
薪ストーブは、スイッチひとつで運転できる暖房とは異なり、薪の補充や燃焼の管理、使用後の灰の処理など、日常的な手入れが必要となります。こうした作業を負担と感じるか、暮らしの一部として受け入れられるかが、薪ストーブと長く付き合うための大切なポイントです。炎の状態を見ながら空気量を調整したり、適切なタイミングで薪を補充する工程は、慣れるまで時間がかかる場合もあります。導入前に、ご自身やご家族のライフスタイルに合っているかを具体的にイメージしておくことが重要です。
薪ストーブの運用には、十分な量の薪を安定して確保する必要があります。購入する場合でも、シーズンを通して使用するとなると相応の量が必要となり、保管場所の確保も欠かせません。屋外に薪棚を設ける、雨に濡れにくい軒下を活用するなど、設計段階から薪の置き場を計画しておくことで、日々の使い勝手は大きく変わります。
薪ストーブは高温になるため、可燃物との距離や床・壁の耐熱処理など、安全面への十分な配慮が不可欠です。また、小さなお子さまがいるご家庭では、ストーブガードの設置など、より細やかな対策が求められます。さらに、煙やにおいが発生することから、近隣環境への配慮も欠かせません。煙突の高さや位置、風向きなどを考慮した設計を行うことで、周囲との良好な関係を保ちながら、薪ストーブのある暮らしを楽しむことができます。
家づくりと同時に考える、設計のポイント
薪ストーブは、ただ設置すれば快適に使えるものではありません。住まい全体の間取りや性能と合わせて計画することで、その良さを最大限に引き出すことができます。ここでは、家づくりの段階で押さえておきたい設計のポイントをご紹介します。
実例:薪ストーブのある住まい

室内に足を踏み入れると、木の香りが心地よく広がるM様邸。自然素材をふんだんに用いた住まいには、薪ストーブを中心としたLDKが広がります。リビング中央に配置された薪ストーブは、本体上部のドアから直接薪を投入できるトップローディングタイプ。腰をかがめることなく立ったまま薪をくべることができ、日常の扱いやすさにも配慮されています。また、天板の高温を活かした調理にも対応しており、暖房器具としてだけでなく、暮らしに役立つ実用性も兼ね備えています。
■「薪ストーブ」実例2:愛知県江南市 K様邸
広々とした吹き抜けリビングの中央に薪ストーブを設けたK様邸。自然素材をふんだんに用いた和モダンの空間に、薪ストーブの佇まいが違和感なく溶け込んでいます。石油やガスに頼らず、自然由来の薪を燃料とすることで、室内の空気を清潔に保てる点も薪ストーブの魅力のひとつ。室内から望める薪棚は、庭の景色の一部としても計画され、機能性と意匠性を両立させています。薪ストーブを住まいの中心に据えることで、暖房としてだけでなく、日々の暮らしに落ち着きとぬくもりをもたらしています。


廊下や仕切り壁を設けず、大きなワンルームのようなLDKが特徴的なT様邸。玄関ドアを開けるとウッドデッキへと視線が抜け、吹き抜けを介して2階までつながる、のびやかな住まいが広がります。この住まいを冬場にやさしく包み込むのが、ベルギー・ドブレ社製の大型薪ストーブです。シーリングファンや塗り壁の蓄熱性を活かすことで、1台で室内全体に暖かさを行き渡らせています。さらに、吹き抜けに伸びる煙突から伝わる熱も有効に活用することで、効率的で心地よい暖房環境を実現いたしました。

今回は、薪ストーブのメリットや注意点、設計時のポイントから実例までをご紹介いたしました。自由設計の注文住宅であれば、薪ストーブの種類や設置場所、住まい全体との調和までを見据え、一邸一邸の暮らし方に寄り添ったご提案が可能です。薪ストーブのある住まいにご興味をお持ちいただけましたら、SBSマイホームセンター浜松展示場内にあるモデルハウスにて、その心地よさをぜひご体感ください。住まいづくりに関するご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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