MENU

Column

椅子を手放す前に、“張り替え”というエコな選択肢

買い替えなくても、
丁寧な手仕事で蘇る椅子

椅子の座面の取り外し

日々の暮らしの中で、私たちのそばでいつも暮らしを支えてくれる家具。中でも椅子は、食事のひとときやリラックスしたくつろぎの時間など、生活の様々な場面で欠かすことのできない存在です。それだけに、長く使っていると生地の擦れやクッションのへたりなど、少しずつ“くたびれ”が目立つようになり、見た目も古びて座り心地にも違和感がでてくると、多くの方が「そろそろ買い替えどきかな」と考えるのではないでしょうか。
しかし、愛着のある椅子を手放すのは少し惜しいもの。フレームはまだしっかりしているのに、座面のへたりだけが気になる…そんなときに思い出していただきたいのが、“張り替え”という選択肢です。そこで今回は、椅子の座面張り替えの様子を詳しくご紹介させていただきます。

座面の張替え前の椅子

張替えで大幅に伸びる椅子の寿命

椅子の寿命は種類や使い方によっても異なりますが、一般的な買い替えのタイミングはダイニングチェアで7〜10年、オフィスチェアで5〜8年、ラウンジチェアで8〜12年と言われています。多くの椅子は10年以内に買い替えられることが多いものの、フレーム自体は20年、30年と使えるケースも珍しくなく、実際には「フレームはまだしっかりしているのに、座面や張地だけが傷んでいる」というケースが多く、座面の張替えやちょっとした修理で快適に使い続けることができます。
さらに張替えはコストを抑えられるだけでなく、生地を選び直すことで空間の印象を一新できたり、環境への負荷を軽減できたりとメリットも多く、家具との新しい付き合い方としてぜひ知っていただきたい選択肢です。

椅子の座面取り外し

職人による丁寧な張替え作業 ①

ここからは実際に行った、花みずき工房で使われている椅子の張り替え作業の様子を、詳しくご紹介させていただきます。

張替えの作業は、まず椅子から座面を取り外すところから始まります。丁寧に養生された台の上で、一脚一脚、座面を取り外していきます。
次に行うのが、座面裏地の解体作業です。裏地を芯材に固定しているタッカー(ホチキスのような釘)の針を一つずつ専用工具で外していきます。タッカーの針は非常に細かく留められており、無理に外すと芯材を傷めてしまう可能性もあるため、慎重に作業が進められます。

椅子の座面裏の針の取り外し

裏地の取り外しが終わると、いよいよ表面の生地の解体作業を行います。裏面同様、表面の生地も数多くのタッカー針で芯材に固定されているため、一つずつ丁寧に取り外していきます。

椅子の座面表の針取り外し

表面の生地を剥がすと中からクッション材がでてきますので、この時点でクッション材の状態をチェックします。ヘタリや変形があれば補修や交換の対象となります。

座面生地引き伸ばし

職人による丁寧な張替え作業 ②

座面生地の解体が終わると、中にあるクッション材の調整を行います。形状が崩れていたり、へたりが激しい場合は中材を足したり新調することで本来の座り心地を取り戻していきますが、今回はスチームを使ってクッションにふっくらとしたハリを与える調整を行いました。


クッション材のスチームあて

クッション材の調整が終わると、いよいよ新しい表生地の張り替えに入ります。この工程は作業全体の中でもっとも時間がかかり、職人の集中力が試される場面です。生地を均等に引き伸ばしながら、四隅や曲面をたるみなく仕上げるには高度な技術が必要で、張りながら少し戻してやり直す場面も多く見られました。細やかな調整を重ね、丁寧に張り上げていく姿からは、まさに“手仕事の力”が伝わってきました。

座面生地取り付け開始

座面生地引き伸ばし

座面表生地貼り付け

仕上がった座面は、しわひとつない美しい仕上がり。見た目だけでなく、使い心地の良さを予感させる張り具合でした。

座面生地張替え完成

座面を取り外した椅子

職人による丁寧な張替え作業 ③

表面の張替え作業が終わると、裏地の張り直しを行います。裏地は普段目にする部分ではありませんが、意匠性を高めると共に芯材を保護する役割も担っています。

座面裏生地取り付け

すべての張替え工程が完了した座面は、最後に椅子本体に戻されます。ネジ穴の位置を正確に合わせ、本体フレームにしっかりと固定いたします。椅子全体のバランスをチェックして、完成となります。

フレームに座面取り付け

椅子拭き上げ

完成した椅子はまるで新品のように生まれ変わり、見た目も座り心地も一新されました。丁寧に作業を重ねる職人さんの姿を間近で拝見し、家具を大切に使い続けることの価値をあらためて感じました。張り替えは、愛着ある椅子を長く使えるだけでなく、サステナブルな暮らしにつながる賢い選択肢だと実感いたしました。

生地を張り替えた椅子

今回、張替えをお願いしたのは、浜松市を中心に椅子やソファの張替えを手がける「株式会社スプラウト」さん。豊富な経験と実績を持つ職人さんによる手仕事で、一脚あたりの張替え時間はわずか30分程でした。気になるコスト面でも、新品の椅子を買う場合と比べて1/10程度と手頃で、環境に配慮しながらも思い出の詰まった家具をこれからも使い続けられる、まさに一石二鳥の選択だと感じました。

株式会社スプラウト ロゴ
株式会社スプラウト 公式ホームページ >>


私たち花みずき工房では、椅子の張替え以外にも様々な家具のご相談を受け付けていますので、どうぞお気軽にご相談ください。


お問い合わせフォーム
お問い合わせはこちらから >>

ハウジングアドバイザー

Mirei Seto

Related Articles

この記事を見た人は、次の記事もチェックしています

Movie hanamizuki
花みずき工房の
施工実績を動画でも
ご覧ください
全てのお客様に届けたい想いの形。

浜松市・静岡市を拠点に「暮らしに魅了される家づくり」を続けて30年。
100%自社設計で描く美しいデザインのオーダーメイドな家づくり。