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内部結露のリスクヘッジに欠かせない「結露計算」

夏型結露による
「内部結露」も考慮した家づくり

木造住宅の最大の天敵は、湿気です。特に、壁の中で発生する「内部結露」には注意が必要です。主に断熱材の部分で発生するもので、構造材の腐朽や断熱材の劣化などを引き起こし、建物の寿命を短くしてしまいます。そのため内部結露のリスクを避け、断熱材を濡らさないようにすることが非常に重要です。私たち花みずき工房は、予め結露が起きないようにするために、設計の段階で「結露計算」を行い対策を取っています。そこで今回は、結露計算についてご説明いたします。
結露が建物や人に与える影響

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はじめに結露が発生するメカニズムですが、空気は温かい温度の時ほど水蒸気を多く含むことができます。水蒸気をたくさん含んだ温かい空気が、冷たい空気に触れると、温度差により空気中の水蒸気が飽和して水になり、結露が発生します。
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[ 構造体への影響 ]

壁の中で結露が発生すると、構造材や断熱材を濡らしてしまいます。濡れた構造材が腐朽して強度を失えば、たとえ耐震等級3を取得した建物であっても、耐震性能は低下し、地震が発生した場合その部分からの破損や倒壊の危険があります。
断熱材も濡れてしまったり湿気を吸ってしまうと、断熱性能を発揮できなくなってしまいます。
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[ 人体への影響 ]

結露を放置すればカビが発生します。カビによる汚染はもちろん、カビを体内に吸い込んでしまうと、喘息・アトピー性皮膚炎・シックハウス症候群などの健康被害を引き起こしてしまいます。

冬型結露と夏型結露

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結露と聞くと、冬の窓ガラスを思い浮かべると思いますが、湿度と温度差の条件が揃えば、夏であっても結露が発生します。例えば、水蒸気を含んだ温かい空気の湿度が60%の時、冷たい空気との温度差が7℃あれば、結露は生じてしまいます。もし湿度が80%もあれば、たった3度の温度差で結露が起きるのです。
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[ 冬型結露 ]

冬の冷たい外気と、室内の温かい空気との温度差が大きいために発生する結露です。窓周り・収納・小屋裏・浴室など、目に見える箇所で発生する表面結露はもちろん、壁体内・床下・天井裏など、目に見えない場所で発生する内部結露も起こります。
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[ 夏型結露 ]

夏の日差しで高温になった壁の内側の空気と、冷房で冷やされた室内の空気の温度差が大きいために発生する(壁の内側でおこる)内部結露です。真夏の外気は非常に高温多湿です。浜松では2023年8月の1ヶ月間の内、16日もの日数で平均湿度が80%を超えました。さらにその内13日間は、30℃を超える真夏日でした。夏場に内部結露が生じるリスクが高いことが分かります。
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内部結露は主に断熱材の部分で発生し、目に見えない壁の中で起きるため気付きにくく、表面結露と違い拭き取ることもできません。気がついた時には被害が大きくなってしまっています。そのため、予め内部結露のリスクを避けることが重要になります。

未然に結露を予測する「結露計算」とは

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結露計算とは、設計段階で行う結露対策です。建物の壁は、外壁材、透湿防水シート、耐力面材、断熱材・プラスターボードといった様々な建築材料で構成されています。結露計算では、建築エリアの条件設定をした上で、それぞれの材料の熱伝導率や透湿比抵抗に基づいて壁内外の温度と水蒸気圧の差を求め、水蒸気の移動をシミュレーションします。

そうすることで、結露するリスクと程度を予測することができるのです。
長期優良住宅や低炭素住宅などの断熱関係の申請では結露計算が必要となっているように、建物の断熱性能を維持する上で欠かせないものとなっており、花みずき工房ではすべての物件で結露計算を行い、快適で長寿命の家づくりを行っています。

結露対策には「通気層」が必須!

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前述の通り、結露計算によって結露が発生しないことを確認しています。国が定めた基準での計算を行ってはいますが、日々刻々と変化していく自然環境の中で、壁内結露の発生を完全に予測することは難しいと言われています。さらに、夏型結露に関しては計算の義務はございません。
そのため、万一結露が発生した場合でも建物内の壁に含まれる水蒸気を外部に排出する仕組みが重要になってきます。弊社では、外壁や屋根の内側に通気層を設け、壁体内部の結露対策を行っています。
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通気層は外壁の下部にある水切り上部から空気を取り込み、壁体内に滞留した湿気を軒裏に設けた換気口から確実に外へ逃がします。万一壁内に結露が発生した場合でも、壁体内の湿気は外部排出されるため、内部結露による建物の劣化を防ぐことが可能です。花みずき工房では屋根にも同様に通気層を設け、建物全体の内部結露対策を行っています。
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外壁通気層のコラムはこちら >>
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屋根の通気層のコラムはこちら >>

今回は、結露計算についてご説明しました。一重に高気密高断熱の建物と言っても、使用している建築材料ごとに透湿抵抗は異なるため、絶対に結露しないとは言えません。結露計算で内部結露のリスクを避けることはとても重要です。花みずき工房では、建物や住む人の健康を保つために結露計算や通気層を設ける以外にも様々な工夫を凝らしています。詳しくお知りになりたい方は、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。
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Yukina Yamaguchi

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