自然素材のやさしさに包まれた、塗り壁のある暮らし。花みずき工房では、これまで多くのお客様に、内装の仕上げ材として漆喰や珪藻土といった自然素材の塗り壁をご採用いただいてきました。調湿性や消臭性といった優れた機能に加え、見た目にもやわらかな風合いが魅力の塗り壁ですが、「汚れてきたときはどうすれば?」「自分でもメンテナンスできるの?」というお声をいただくことも少なくありません。実は、漆喰や珪藻土の塗り壁は、ちょっとした工夫と基本的な知識があれば、ご自宅でも手軽にきれいな状態を保てます。
このコラムでは、塗り壁の魅力をあらためてご紹介するとともに、漆喰と珪藻土の違いや、日常的にできる簡単なお手入れ方法を、わかりやすくお伝えいたします。自然素材の心地よさを、これからも長く楽しんでいただくために、ぜひ参考にしてみてください。
塗り壁の魅力と、漆喰・珪藻土の簡単お手入れ方法
お手入れは意外と簡単、
自然素材の塗り壁と心地よく暮らすために


内装を塗り壁にするメリット
リビングや寝室など、私たちがもっとも多くの時間を過ごす空間。そうした場所の壁に塗り壁を取り入れることで、住まいの心地よさはぐっと高まります。漆喰や珪藻土といった自然素材の塗り壁は、見た目の美しさだけでなく、空気をきれいに整えたり、湿度を快適に保ったりと、機能面でもすぐれた力を発揮します。さらに、表面に静電気が起きにくいためホコリがつきにくく、壁まわりが汚れにくいのも嬉しいポイント。お部屋の空気がどこか澄んで感じられるのは、こうした塗り壁の性質が影響しているのかもしれません。塗り壁がもたらす主なメリットには、次のようなものがあります。
・調湿性があり、室内の湿度を快適に保つ
・消臭効果により、生活臭をやわらげる
・静電気が起きにくく、ホコリがつきにくい
・化学物質をほとんど含まず安心
・光の反射が柔らかく空間に温かみを与える
・年月とともに味わいが増す「経年美化」
・職人の手仕事による、唯一無二の風合い
毎日の暮らしの中で、自然と目に入り、肌にも近い存在である「壁」。そこに自然素材を選ぶことで、身体にも心にもやさしい、安心感のある住まいが生まれます。

漆喰と珪藻土とは?
塗り壁に使われる代表的な自然素材として、「漆喰(しっくい)」と「珪藻土(けいそうど)」があります。どちらも自然由来の素材で、化学物質をほとんど含まないため、住む人の健康に配慮した安心・安全な壁材として注目されています。調湿性や脱臭性などの機能性にも優れ、昔から日本の住宅に取り入れられてきた、歴史ある素材です。
まず漆喰は、石灰石を焼いて水を加えて作る「消石灰」を主原料とした塗り壁材です。
仕上がりはなめらかで、ほのかに光をやさしく反射する白い壁面が空間に清潔感と開放感をもたらします。漆喰には高い調湿性や消臭効果に加えて、強アルカリ性による抗菌・防カビ作用もあり、清潔な室内環境を保ちやすいのが特長です。表面は比較的硬く、ツルっとした触り心地で、上品な印象を与えます。また、洋風・和風を問わずさまざまな空間に調和しやすいのも、漆喰ならではの魅力といえるでしょう。
一方の珪藻土は、太古の植物プランクトンが堆積・化石化した「珪藻殻(けいそうかく)」を原料とする塗り壁材です。最大の特長は、その多孔質構造にあります。目に見えないほど細かな無数の孔(あな)が空いており、空気中の湿気やニオイを吸着・放出する働きに優れています。そのため、室内の湿度を自然に調整したり、生活臭やペット臭を軽減したりといった効果が期待できます。仕上がりは素朴でやさしく、ザラっとした質感が温かみを感じさせるため、ナチュラルテイストのインテリアや、落ち着いた雰囲気の空間によく似合います。
漆喰と珪藻土の塗り壁の違いに関しては、弊社のコラム「漆喰と珪藻土、同じ壁でもこんなに違う」でも詳しくご紹介していますので、あわせて御覧ください。

漆喰のお手入れ方法
ここからは、具体的なお手入れ方法をご紹介いたします。まずは漆喰ですが、漆喰のお手入れは意外と簡単で、日常のケアで美しさが長持ちします。抗菌性や調湿性に優れた漆喰は、そもそも汚れにくい素材ですが、長く暮らすうちに、ふとしたときに小さな汚れや傷が気になることもあります。とはいえ、漆喰は自然素材だからこそ、専門的な道具がなくてもご自身で手軽にメンテナンスできるのが大きな魅力です。


目立つ汚れへの対応

小さなひび割れや欠けの補修
乾燥や地震などの影響で、小さなひび割れや欠けができることもありますが、心配はいりません。市販の漆喰補修材や、施工時に残しておいた余り材を使えば、ご自身でも簡単に補修できます。補修方法は、割り箸や小さなヘラなどを使って、ひびや欠けの部分に漆喰を埋め込むように塗り込み、表面を整えるだけ。乾燥後に軽くならすと、違和感なく仕上がります。
漆喰は、見た目の美しさだけでなく、日常のお手入れで長くその風合いを保てる素材です。ちょっとした汚れもご自宅で簡単にケアできるため、自然素材の壁がより身近な存在となり、毎日の暮らしにも心地よさが広がっていきます。

珪藻土のお手入れ方法
次に、珪藻土のお手入れ方法をご紹介いたします。珪藻土の壁は、空気中の湿気やニオイを吸収・放出する力に優れた自然素材です。室内の空気環境を快適に整えてくれる一方で、表面がやや柔らかく、水分に弱いという特性もあるため、お手入れの際にはいくつかのポイントに注意することで、より長く美しさと機能を保つことができます。日常のお手入れ
普段のお手入れはとてもシンプルです。乾いた柔らかい布やハンディモップを使って、壁の表面をなでるように軽くホコリを払うだけで十分。珪藻土は静電気が起きにくく、ホコリが付きにくいため、こまめにやさしくお掃除するだけで清潔な状態を保つことができます。強くこする必要はありません。

軽い汚れが気になるとき
手垢や軽い黒ずみなどの汚れが気になる場合は、水を含ませて固く絞ったメラミンスポンジを使ってみましょう。表面をこすらず、軽くポンポンと叩くようにお手入れするのがポイントです。力を入れすぎたり、擦ってしまうと表面を傷めてしまうことがあるため、やさしいタッチで汚れを浮かせるようにしましょう。

小さなひび割れや欠けができた場合も、ご自身で簡単に補修が可能です。市販の珪藻土補修材や、施工時の余り材があれば、それを使って補修できます。補修の手順は、指やヘラなどでひびや欠けの部分に素材を塗り込み、乾燥後に周囲となじませるように整えるだけ。指で軽く押し広げながら整えると、より自然に仕上がります。
珪藻土は一見デリケートに感じられますが、適切な方法を知っていれば、ご自宅でも無理なくお手入れができます。自然素材ならではの柔らかな風合いや調湿効果を保ちながら、暮らしの中で少しずつ手をかけていくことで、空間に愛着が増していきます。丁寧に付き合うことで、より長く快適な住まいを楽しむことができる素材です。

漆喰や珪藻土の塗り壁は、自然素材ならではのあたたかさと機能性を兼ね備えた、暮らしにやさしい壁材です。年月とともに味わいを増し、住まいに深みを与えてくれる存在として、花みずき工房でも多くのご家庭で採用いただいてきました。今回ご紹介したようなお手入れ方法を取り入れていただくことで、塗り壁の美しさや快適さをより長く楽しんでいただけるはずです。ほんの少しの手間で住まいが整い、自然素材とともに心地よい暮らしが続いていく。それが、塗り壁の魅力でもあります。
「この汚れは落ちるのかな?」「ひびが気になるけど大丈夫?」といったちょっとした疑問や不安がありましたら、お気軽に花みずき工房までご相談ください。
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