F☆☆☆☆制定の経緯
前述の「ホルムアルデヒド」とは、水素、炭素、酸素から構成される揮発性の高い化学物質で、自然界にも存在する無色透明の気体です。独特な刺激臭を持っており、水溶液であるホルマリンという名称でご存知の方も多いと思います。加工しやすく安価なため大量生産に向いており、化学工業の発展に伴い1900年初頭から防腐剤や消毒液、建材においては、合板、パーティクルボード、壁紙などの接着剤、塗料などに盛んに使用されてきました。

しかし1980年代の始め、建材や家具、日用品などから発散されるホルムアルデヒドが原因となり、アメリカで多くの方々が深刻な体調不良を訴えるシックビルディング症候群が社会問題化しました。当時、省エネルギー社会の実現に向けて住宅の高気密化が進む一方で、有害物質を発散する可能性のある建材が制限なく使用されていました。そのような状況の中、換気が適切に行われず、室内に滞留した多量のホルムアルデヒドを吸引したことが主な原因だと考えられています。
1990年代には日本でも、目や喉などの粘膜への刺激、めまい、アトピー性皮膚炎などの症状が出る「シックハウス症候群」が社会問題となり、2003年にホルムアルデヒドに対する法整備が行われ、F☆☆☆☆が制定されました。