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住宅の安全性を正確に評価する「許容応力度計算」

材料の強度特性まで踏まえて
安全性を証明する、
優れた計算方法

これから住宅を建てられる方であれば、その家の強度や安全性はしっかりと確認しておきたいですよね。実際に家を建てて力を加えてみれば、どのくらいの力でその家が壊れてしまうか分かりますが、もちろんそんな事はできません。そこで建物の安全性を事前に細かな計算で証明するのが「構造計算」、中でも最も基本となる計算方法がこの「許容応力度計算」です。
今回はこの許容応力度計算について、詳しくご紹介させて頂きます。

そもそも許容応力度とは?

 

許容応力度とは耳慣れない言葉かも知れませんが、その材料が「許容」できる「応力度」のことをいいます。
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許容とは?
材料に力を加えていくと、その力の強さに応じて変形していき、やがて損傷してしまいます。強度計算では当然損傷することは許容できませんが、少しの変形も許容できない訳でもございません。つまり「許容」とは「ここまでは許容できる」と決めた値のことで、一般的にはその材料が損傷しない限りまでなら許容すると考えます。
応力度とは?
応力とは、材料が外部から力を受けた時に内部に生じる抵抗力のことで、その材料の単位面積あたりに生じている応力の大きさを「応力度」といいます。
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つまり「許容応力度 > 応力度」の関係になっていればその材料は破壊しないという事になります。許容応力度は、材料が安全に使用されるために「どの程度の応力まで耐えられるか?」を示す基準となります。

許容応力度の種類

 

許容応力度にはいくつかの種類がございます。主な許容応力度の種類には、以下のような物がございます。
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許容引張応力度
材料が引っ張られる様に外力を受ける場合に許容される最大の応力です。設計や構造解析において、引張応力が材料の耐力を超えないように設定されます。
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許容圧縮応力度
材料が圧縮される様に外力を受ける場合に許容される最大の応力です。圧縮応力が材料の変形や破壊を引き起こさないように設定されます。
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許容曲げ応力度
材料が曲げられる様に外力を受ける場合に許容される最大の応力です。梁や構造物などの曲げ応力に対して設定され、変形や破壊を防ぐために重要な指標となります。
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許容せん断応力度
材料がせん断される様に外力を受ける場合に許容される最大の応力です。接合部や剪断力がかかる箇所で設定され、材料の破壊を防ぐために重要です。
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これらの許容応力度は材料の特性によっても異なってきます。材料の特性を正確に把握して適切な許容応力度を選択することで、部材や構造物の強度と安全性を確保することができます。
木造住宅における「許容応力度計算」

 

ここまでご説明した「許容応力度」を用いて、建物の安全性を細かく計算していく構造計算が「許容応力度計算」です。住宅会社では構造計算ソフトを用いて柱や梁、接合部など全ての構造要素において細かく安全性を確認していきます。計算方法の大まかな流れとしては下記のとおりです。
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1:荷重・外力を求める
建物の重さや家具や積雪荷重等の建物に長時間作用する「荷重」や、地震や風圧など建物に一時的に作用する力「外力」を求める。
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2:応力を求める
長期(建物の重さ・積載荷重)、短期(地震力・風圧力)ごとに、建物の各部材に生じる力「応力」を求める。
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3:比較する
各部材の許容できる力と、各部材に生じる力を比較して、許容できる力が上回れば問題無しとする。
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大まかに説明してしまうと簡単なことに思えるかもしれませんが、許容応力度計算の計算資料は250枚から300枚にものぼる程、安全性を細かく計算していきます。
必ずしも義務ではない「許容応力度計算」
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世界一の地震国と呼ばれている日本ですが、実は2階建て以下の木造住宅ではこの「許容応力度計算」は義務付けられていません。簡易的な計算と仕様を守ることで確認申請を通し、住宅を建てる事ができてしまいまう為、多くの場合手間もコストも掛かる構造計算は省略されている様です。しかし、簡易的な計算で申請を通った建物でも、改めて許容応力度計算を行うと「構造安全性を満たしていない」と判断されてしまうケースもあります。このような事態を避けるためにも、事前に許容応力度計算をすることが大切です。

許容応力度を用いて、個々の材料の強度特性を踏まえながら建物の安全性を証明する「許容応力度計算」。花みずき工房ではお客様の末永い安心・安全の為に、全棟許容応力度計算を用いて「耐震等級3」を獲得しています。
更に詳しくお知りになりたい方は、花みずき工房までお気軽にお問い合わせください。
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Yukina Yamaguchi

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