1980年に建てられた鉄骨・鉄筋コンクリート造3階建てのS様邸。重量鉄骨の躯体こそしっかりとしていたものの、40年以上の月日を経て内装空間はそれなりに老朽化していました。建替えもご検討いただきましたが、せっかくの堅牢な躯体を活かし、水まわり設備の刷新、断熱性能の向上を踏まえて室内空間のフルリノベーションを行うことになりました。

室内空間のフルリノベーションという事で、ALC（軽量気泡コンクリート）の外壁材と鉄骨の骨組みだけを残して全て解体し、まずは内装空間をスケルトン状態にしていきます。撤去する部分と残す部分を細かく確認しながら、丁寧に解体していきます。

続いて鉄骨の骨組みに新たな木下地を組み上げていきます。まずは天井下地を組み上げ、続いて剛床で床下地を組んでいきます。細かくレベルを見ながら樹脂製の束を微調整し、床下地を平らに仕上げていきます。

天井と床の下地が仕上がった次は壁の下地を組み上げていきます。天井と外壁に面する壁面には隙間なく断熱材を充填し、夏の暑さ、冬の寒さから室内空間を守る快適な温熱環境にも配慮いたしました。

こうして見事に生まれ変わったS様邸。2階に設けたリビングルームを始め、主要な居室の壁と天井は調湿性能の高い珪藻土の塗り壁で仕上げ、見た目だけではなく空気環境も刷新いたしました。

同じく2階に設けたダイニングキッチンスペース。天井まであるガラスの引き戸を抜けると1階、3階へとつながる階段室に、奥に見えるピアノ室を抜けると冒頭のリビング空間へと続いています。

階段を上がった3階のホールに設置された手洗いカウンターとオープンクローゼット。限られたスペースを余すことなく有効活用した間取り設計で、3階には他にもお子様用のお部屋が2部屋とトイレを設けています。

シンメトリーに設計された子供部屋。こちらにも二人のお子様の生活品が十分に格納できる収納を設けました。

そして玄関のある1階にはトイレ、洗濯洗面室と浴室、主寝室と広々としたウォークインクローゼット。

限られた条件の中、既存の躯体を上手に活かし、必要な設備と収納を備えた5人家族が快適に暮らせる住まいを実現いたしました。